越智直正 (おち なおまさ)タビオ 会長
中学卒業後、父親の遺言により、大阪の靴下問屋に丁稚奉公に出される。軍人あがりの大将に厳しく仕込まれ、挫けそうになりながらも、十年後の暖簾分けを夢見て、靴下の商いを猛勉強する。その間、自らの無学を克服するため、寝る間をおしんで、中国古典を読みふける。
28歳のとき独立、靴下専門卸問屋「ダン」を創業。 苦しい資金繰りの中で創立5年目の倒産の危機を乗り切る。その後、製造小売に転身し、他社に先駆けて、〈売れるものを売れる分だけつくる〉画期的なコンピューターネットワークシステムを構築し、急成長を遂げる。
バブル崩壊後、同業他社が次々と中国へ生産拠点を移すなか、日本でのモノづくりにこだわり、1992年、取引工場とともに協同組合靴下屋共栄会を設立。業界屈指の研究開発室と物流センターを作り、品質および物流効率を飛躍的に向上させる。2000年、大証二部上場。02年、ロンドンの一等地に海外1号店を出店する。06年社名を「タビオ株式会社」に変更、08年代表取締役会長に就任し、現在に至る。
不撓不屈の精神で、様々な艱難辛苦を克服してきただけに、関西弁での歯に衣着せぬ発言は異彩を放ち、著者の血となり肉となった数々の古典の言葉は、多くの人の共感を呼んでいる。
1939年愛媛県生まれ。 著書「男一匹、負けたらあかん」(日本経営合理化協会出版局)、「男児 志を立つ」(致知出版社)。